ママ友は、ひとりいました。
子供たちが小さかったころ、よく一緒に遊んだ人です。学校の集まりにも、たいてい一緒に行っていました。
とにかく、よくしゃべりました。
家のこと、子どものこと、話のタネはいくらでもあって、いつまでも話していられる。そういう関係でした。
ですが、だんだん、その人が毎日のように電話をかけてくるようになりました。(当時はスマホはなく固定電話でした)
朝かけてきて、夕方またかけてくる。長いときは一時間以上、受話器を持ったまま。
最初のうちは、私も楽しかったんです。でも、だんだん、自分の時間が削られていくのがわかってきました。
子どもたちが大きくなってきても、その関係は変わりませんでした。
むしろ、子どもの手が離れたぶん、向こうの電話は増えていった気がします。
私は少しずつ、誘いを断るようになりました。
電話にも、出られるときと出られないときがあるよね、と、やんわり伝えるようになっていきました。
すこしずつ距離をとる、というのは、なかなか時間のかかることでした。
長くしゃべってきた相手だからこそ、ぱっと離れることはできない。すこしずつ、すこしずつ、間をあける。
そうして、ようやくちょうどいい距離になりました。
今は、月に一度くらい会って、お互い孫の話をしたり、旅行の話をしたり、くだらない話で大笑いしたり。よい関係を築けています。
ここまで来るのに、ずいぶん長い時間がかかりました。でも、関係を切らずに、距離だけ変えることはできるんだ、ということを、私はこの人から学んだ気がします。
太いつきあいが何本もあるよりも、細く、確かなものが二、三本あれば、私にはちょうどよさそうです。
夫がいて、子供たちがいて、子供たちの家族がいて。実家の母とママ友がひとり。そして高校の同級生の友人がひとり。
私にはじゅうぶんすぎるくらい、ありがたくて、しあわせなことです。
正解はきっと、ひとつではない。
人それぞれに、心地よい距離があるのだと思います。
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